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お部屋に絵を飾りましょう
by 棚倉樽
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福島に生まれ青森に育つ。18歳で画家を志し上京。紆余曲折の末、50歳にして画業に専念。油彩&水彩の風景画・人物画に日々取り組んでいます 。
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作品・古事記より『天宇受賣命(Ameno-uzume)』

油彩・F6(40.9×31.8cm)※画像クリックで拡大
作品・古事記より『天宇受賣命(Ameno-uzume)』_a0146758_23165899.jpg

 2011年制作、古事記「天岩戸(あまのいわと)」に登場する「天宇受賣命(アメノウズメノミコト)」。
元絵は、小杉放菴作「天のうづめの命」で、昭和16年に「古事記八題」のために描かれたコンテです。
作品・古事記より『天宇受賣命(Ameno-uzume)』_a0146758_23172347.jpg

 天岩戸は日本人なら誰でも知っているエピソードですが、作品を描くにあたり今一度詳しく調べてみました。すると、その豪快でユーモアに溢れた古代日本人の創造力に驚かされました。特に、子供の頃に読み聞かされなかった細部にこそ意味があることを知った次第であります。

 こうしてアマテラスは怒りのあまり天岩戸に引きこもる。
太陽神でもあるアマテラスが隠れることによって、世界は暗黒の闇に包まれ、悪神や魔性が跋扈する。そこで、「八百万の神(やおよろずのかみ)」が集まりアマテラス復活の手段を様々に講ずる。しかし、アマテラスが岩戸を開ける気配はいっこうに無かった。
そして、神々の緊張が極点に達した時、アメノウズメが岩戸の前で踊り始めるのである。

「天宇受賣命、天の香山の天の日影をたすきにかけて・・・」と登場し、「・・・胸乳(むねじ)をかき出で裳緒(もひも)を陰(ほと)に押し垂れき」と狂態を演じる。すると、「ここに高天の原動(とよ)みて、八百万の神共に咲(わら)ひき」となるのである。
つまり、乳房をさらけ出し陰部もあらわなウズメの狂態に、高天原が鳴り響くように神々が一斉に笑い出したのである。そして、その爆笑に導かれてアマテラスは姿を現し、世界に光明と秩序が甦るのであった…。


 天岩戸の物語は死と再生の祭りの説話化と言われています。そして、ウズメの陰部の顕示は、まさに創造の原点に立ち戻っての復活を暗示するものとも解釈されています。
 子供の頃に読んだ天岩戸の物語は、さすがにウズメがオッパイもアソコも見せて踊ったとは書かれていませんでした。しかし物語のテーマが、実はウズメのエロティックな部分にも隠されていたのを今回初めて知った訳であります。

 小杉放菴画伯が描かれたウズメは、ブギの女王といわれた笠置シヅ子がモデルと言われています。なるほど、八百万の神たちを爆笑させたウズメの天真爛漫さは笠置シヅ子そのものです。
私のイメージは、エキゾチックでグラマラスでセクシーな女神でした。美女が狂態を演じた方が、八百万の神たちの驚きと喜びも倍増だったことでしょう(笑)。

 古代より朝廷の祭祀に携わってきた氏族の一つである「猿女君(さるめのきみ)」は、ウズメを始祖としています。猿女君の末裔に稗田氏(ひえだし)がおり、一族のひとり稗田阿礼(ひえだのあれ)は古事記の編集者の一人です。稗田氏の氏神である奈良県大和郡山市の賣太神社(めたじんじゃ)では、ウズメを芸能の始祖神、福の神、おたふく、おかめ、等と称すると伝わっています。
ん〜、おたふくやおかめの起源がウズメであるとは驚きでした。ということは、私が描いた美女ウズメ像はイメージが違っているのかも知れませんね(笑)。

 ちなみにウズメを芸能・技芸全般の神として祀っている神社は賣太神社の他に、千代神社(滋賀県彦根市)、芸能神社(京都市右京区)、椿大神社(三重県鈴鹿市)、鈿女神社(長野県北安曇郡松川村)などがあります。
また、『日本書紀』によるところの天鈿女命(あめのうずめのみこと)を御祭神とする神社は、荒立神社(宮崎県西臼杵郡高千穂町)と小古曽神社(三重県四日市市小古曽町)があるそうです。

 ウズメは日本最古の踊り子であり、芸能の女神であります。その意味で、以前描いた遊女歌舞伎の花形『釆女』の祖でもある訳です。釆女を描いた時も江戸時代の自由奔放でダイナミックな日本文化に驚かされましたが、今回も古代日本人が作り上げた壮大で多義的な暗示が散りばめられた叙事詩に感銘を受けました。
まだまだ私の日本文化再発見探訪は続くのであります。。。。
作品・古事記より『天宇受賣命(Ameno-uzume)』_a0146758_23175283.jpg

by Patch_It_Up | 2018-01-20 14:49 | 古事記を描く | Comments(4)
Commented by rock_bell at 2011-07-12 23:56
日本書紀や古事記、和歌やアイウエオの五十音やイロハ・・・
文字や言葉や漢字という先入観で物事を考えてしまうと本質を見逃すでしょうね。日本の文化が残してくれたものが、果たして何の目的で残したのでしょう。私には、そこがわかりません。
Commented by Patch_It_Up at 2011-07-13 10:44
>rock_bellさん
その時代の文化は、後世に残すという目的よりもその時代に生きる人々のために作り出されたものでしょう。今の時代に生きる我々が、いにしえの文化に触れて何を学びどう活かすかが大事だと思います。
Commented by lingmin at 2011-07-16 01:02 x
棚倉 樽様(^.^)
お元気ですか?
ご無沙汰しております、お褒め言葉に感謝致します!
でも、こんなに器が大きくないので、巨匠と例えは少し過剰褒めでは無いでしょうか?[笑]

お陰様で、第12回日美絵画展、油絵部門審査員奨励賞されました!
よかったら、又国立新美術館にお足を運んで下さいませ!
飛んでいるの仙女絵はいいですね。。。
又きてくださいね1
Commented by Patch_It_Up at 2011-07-16 17:54
>lingminさん
受賞おめでとうございます!。
是非拝見させていただきます。

この絵は実に楽しく描きました。
最後に「おへそ」の位置に苦心しました(笑)。
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