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お部屋に絵を飾りましょう
by 棚倉樽
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福島に生まれ青森に育つ。18歳で画家を志し上京。紆余曲折の末、50歳にして画業に専念。油彩&水彩の風景画・人物画に日々取り組んでいます 。
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映画『CUT』の常盤貴子を描く

絵手紙(15×10cm)・透明水彩
映画『CUT』の常盤貴子を描く_a0146758_224387.jpg

2001年公開、イラン出身の監督アミール・ナデリの『CUT』を観ました。外国人監督作品ではありますが、舞台は東京、出演者も全て日本人の日本映画であります。しかし随所に外国人好みの演出があり、海外のマーケットを狙ったのが分かります。案の定、ヴェネチア国際映画祭で10分のスタンディングオベーションを受けたそうです。
とはいうものの、決してサムライ、ゲイシャ的な映画ではなく、ヤクザとバイオレンスでラッピングされた「映画哀歌」の映画なのであります。

ストーリーは単純で、映画をこよなく愛する主人公・秀二(西島秀俊)がヤクザ者の亡き兄の借金を返すために「殴られ屋」をやるというもの。ただし、1200万円もの借金を二週間で返す訳なので、その殴られ方は尋常ではありません。現実的には一日しか保たないとは思うのですが、そんなことはどうでもよくて、ただただ西島の熱演に引きずられます。そこには秀二の「借金返済の為に殴られるのではない。生きて映画を作りたいのだ!」という狂気とも言える「映画愛」があるのです。

映画作りを目標としながら古い映画の自主上映会を催している秀二。上映会の宣伝は、かつての学生運動風に街頭でトラメガで「映画は真に娯楽であり、芸術である!」などと叫ぶ。個人的にはこの描写には嫌悪感を覚えましたが、現代の商業主義一辺倒のハリウッド映画や幼稚な日本映画を批判する姿勢には共感出来ました。
つまり秀二が上映する映画は、例えばバスター・キートンの無声映画や新藤兼人の『裸の島』といった「映画は真に娯楽であり、芸術である」の信念に従っているのです。(まあ、私としては新しい映画の中にも秀作はあると言っておきますが)
また、「映画愛」に苦しむ秀二は、ことあるごとに黒澤明や小津安二郎の墓の前に平伏すのです。これは、言うまでもなくナデリ監督のかつての日本映画に対するリスペクトが込められているのであります。映画の終盤には、秀二が殴られる度にかつての名作と名匠がクレジットされます。その中には「Nagisa Oshima “Boy”」も…。

趣味的に映画好きを自称している人は別にして、心から映画を愛し自分の信じる映画を作りたいという人に、秀二のような「覚悟」があるか、ということを考えさせられます。映画に限ったことではありません。芸術携わる者の全てに言えることです。芸術の創造には「信念」こそが必要です。その信念のために命を懸ける覚悟があるかどうかです。私は、芸術家と呼ばれる域には達していませんが、芸術家を目指す者のひとりとしてその覚悟を持たなければならないと、この映画を観て痛感したのであります。

ナデリ監督は、この映画にひとりだけ必要な女優をキャスティングするにあたり、日本人スタッフに「目に力のある女優を推薦してくれ」と頼んだそうです。そして起用されたのが常盤貴子でありました。ヤクザの事務所で働く女・陽子、秀二と恋愛関係にある訳ではないのですが、殴られてズタボロになった秀二が陽子の胸で気絶し、戸惑う陽子の表情と仕草の長めのシーンが印象的でした。ナデリ監督も納得の演技だったでしょう。劇中で唯一ロマンチックなシーンでありました。ん〜、闘う男、孤独な男には、やはり女の胸が必要なのだなぁと思い、絵にしたのであります。。。。
by Patch_It_Up | 2013-01-26 02:25 | 日本美人図 | Comments(0)
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