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お部屋に絵を飾りましょう
by 棚倉樽
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福島に生まれ青森に育つ。18歳で画家を志し上京。紆余曲折の末、50歳にして画業に専念。油彩&水彩の風景画・人物画に日々取り組んでいます 。
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作品『アンダルシアの犬(シュルレアルな海辺)』

"Un Chien Andalucia (le bord de la mer surréaliste)"
27×20cm・Watercolor painting
作品『アンダルシアの犬(シュルレアルな海辺)』_a0146758_1540074.jpg

ルイス・ブニュエルとサルヴァドール・ダリが1929年に制作した短編映画『アンダルシアの犬』。ジックリと全編を観た事がなかったので、ネットオークションでDVDを400円で購入し観る。女性が眼球を剃刀で切り裂かれる冒頭のシーンは誰でもご存知であろう。映画史には何らかの一石を投じたかも知れないが、この映画、「どうでもよい映画」です。所詮ブニュエルとダリが見た夢を映像化しただけのもの。他人の夢の話ほどつまらなく退屈なものはないでしょう。この映画も確かにショッキングなイメージが次々に映し出されるが、所詮夢の話。「シュルレアリスムの傑作」ともてはやされているが、つげ義春が昼寝して見たただの夢を描いた漫画『ねじ式』を「反体制の象徴的表現」と反体制気取りの学生が崇め奉ったことと似ている。この映画はパリの映画館で公開されたのであるが、ワンサカ人が押し掛け興行的に大成功している。なにせその時代の映画はセクシャルなシーンはカットされたり検閲が厳しかった。『アンダルシアの犬』ではキスシーンもオッパイモミモミシーンも、動物の死体やら道に捨てられた手首やらも登場する訳で、人々の興味を刺激しない訳はなかったのである。そして、ブニュエルとダリの名声は一気に轟き渡り、成功の足掛かりとなった。つまり、シュルレアリスムの実験的映像を用いて二人の売り込み作戦はまんまと成功したのである。
時代は違えど、当時の観客の中にも「なんだこりゃ」と笑う人もいたでしょう。恋人(シモーヌ・マネイユ)にムラムラときた主人公が襲いかかろうとすると男は死んだロバが乗せられたピアノに繋がれており、男とピアノの間には修道士に扮したダリともう一人の男が繋がれており必死にピアノを引っ張っている…この様子はまるで懐かしの「俺たちひょうきん族」のコントである。
とにかく「なんだこりゃ」の映像が続き、突然ラストでは海辺で女が男にベタベタと絡み肩を組んで歩き去ってゆくシーンが。おぞましいイメージの連続の後でもあり、私はこのシーンをとても美しいと感じた。実際はフランスの何処かの海辺の風景のようであるが、ダリが描いたスペイン・カダケスの海辺のようにも見えた。ダリの意図であったのかも知れない。散々に弄ばされたシモーヌ・マネイユが最後にいやらしく男に絡む様子も実にエロい。
80年前に作られたシュルレアリスムの映画であったが、この世界は現代で見事に結実したと私は感じる。世界の惨劇を伝える報道番組が終わった途端にセーラー服まがいの衣装で楽しそうに跳ね回る少女達のCMが流れる。豪華なセットを背景に高価そうなスーツを着て、「消費税が上がって私たち庶民の生活は苦しくなるばかりです」と平然と話すニュースキャスターなど、テレビは実にシュルレアリスティックである。また、SNSはそれ以上にシュルレアルだ。食欲、性欲、自己顕示欲を表すイメージや言葉が際限なしに垂れ流されている。夢の話を聞かされているようでもありウンザリだ。
ブニュエルとダリが現在のメディアの有様を見たら、驚きながらも「ほら、我々が考えていた通りの世界になったな」と言うだろうね。。。。
by Patch_It_Up | 2014-04-27 15:39 | 本・映画・音楽 | Comments(0)
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