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福島に生まれ青森に育つ。18歳で画家を志し上京。紆余曲折の末、50歳にして画業に専念。油彩&水彩の風景画・人物画に日々取り組んでいます 。 facebookもよろしく→https://www.facebook.com/tarutana カテゴリ
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ゆっくり見られるフェルメール作品
六本木の国立新美術館に展示されているフェルメールの「天文学者」。まだまだ大混雑のようで。鑑賞するというよりはただ単に「見る」の状況のようですな。
さて、そんな猫も杓子もフェルメール詣りの中、上野の国立西洋美術館に「聖プラクセディス(Sint Praxedis)」というフェルメール作品が3月17日から常設展示されています。1655年にイタリア、バロックの画家フェリーチェ・フィケレッリの同名作品を模写したとされる本作は、フェルメールに帰属となっています。「帰属」とは「たぶん本物だと思う」って感じの表現で、つまり専門家による真贋が分かれているのです(なれば他にも「帰属」としなければならないフェルメール作品はあるでしょうね)。しかしながら、ワシントン・ナショナル・ギャラリーの学芸員でフェルメール研究の第一人者のアーサー・ウィーロック氏が真作であるとした論文を発表しており、1995年、96年にワシントン・ナショナル・ギャラリーとマウリッツハイス美術館で開催された「フェルメール展」、さらには2000年に大阪市立美術館で開催された「フェルメールとその時代展」に於いて本作はフェルメール作品として堂々と展示されたのです。 昨年7月、ロンドンのクリスティーズで競売に出され、なんと某日本人が約11億円で落札、西洋美術館に寄託したのでした。この経緯も何かミステリアスな臭いがしますね。 さて、帰属としながらもフェルメール作の可能性の高いこの作品、さぞ黒山の人だかりかと思いきや、第四土曜日の無料観覧日にも関わらず、絵の前には人がおらず、ゆっくり、ジックリ鑑賞することが出来ました。私があまりにも真剣に見ているので背後に7、8人が「なんだろ?」という感じで集まってきました。今まで日本にやってきたフェルメール作品をこんな至近距離で鑑賞するのは不可能でした。画家である私は、真贋はさておき、作品の素晴らしさに純粋に感動しました。背後には斬首された殉教者の亡骸、聖女がスポンジを絞って水差しに流し込む血の色、実に生々しい。現在中東で起きてるテロ事件を彷彿とさせられたのは私だけか。それに対比するような聖女の穏やかで慈悲深い表情に胸を打たれます。鮮やかな聖衣の赤と背景の青、他のフェルメール作品よりもラピスラズリを効果的に配色しているように思います。世界平和を祈念するような重厚な作品であります。 本作の横には解説書(添付画像)が用意されていて、主に真贋論争について書かれています。私が最も興味を持った点は、「フェルメールはイタリアへ行ったことがなく、フィケレッリのオリジナル作品を見ていないだろう」ということである。しかし、本作の白色の顔料はオランダ・フランドル独自のものであり、イタリアにはないそうで、明らかにフェルメールの時代にオランダで描かれた作品なのである。考えるに、フィケレッリの原画とフェルメール作品の間に、何らかの形の絵が存在していたのではないか。つまり、誰かが描いたフィケレッリの忠実な模写、あるいは布教用の銅版画などをフェルメールが見て描いたのではないか。まあ、私は今後何度もこの絵を観ることであろう。その度に自分なりのドラマを思い描いて胸躍らせることにいたしましょう。。。。
by Patch_It_Up
| 2015-04-30 20:43
| 美術見聞録
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