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福島に生まれ青森に育つ。18歳で画家を志し上京。紆余曲折の末、50歳にして画業に専念。油彩&水彩の風景画・人物画に日々取り組んでいます 。 facebookもよろしく→https://www.facebook.com/tarutana カテゴリ
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作品『マリコのシュークリーム』“Mariko's cream puff” 18×18cm・watercolor I was hospitalized for a month after I was injured when I was in the second grade of junior high school. Many classmates came to my room, but only one girl. That was "Mariko". Mariko was a cute girl, and she was a saucy girl. When Mariko appeared in the hospital room, I was ashamed so much that I could not see her. And I did not talk with her. Mariko said, "Please eat this," putting a candy box in my bed, and went out of the hospital room. The candy box contained cream puffs. While eating a cream puff, I swore, "When I go to school after leave the hospital, I apologize to Mariko." I returned to school. And I looked for Mariko. But she was not there. I asked a my friend, "Where is Mariko?" He replied, "Mariko moved to a school in Tokyo.” Oh, at that time, Maryko wanted to say "good-bye" to me. But I responded coldly to her. Even now I eat cream puff and remember Mariko and I say in the mind "I am sorry, Mariko”… 八戸市立市川中学校二年生の僕。体育の授業で相撲を取って、浴せ倒しをくらって脳震盪を起こし一ヶ月間入院することになった。陸上自衛隊駐屯地の近所にある小さな病院。四人部屋には二十歳の自衛隊の兄ちゃんもいた。東京出身で訓練中に腰を強打したとのこと。この兄ちゃんからあらゆることを教わった。音楽や映画、女の子のことなど。「三つ子の魂百まで」ということわざがあるが、僕には「中二の魂百まで」が正しい。 さて、生まれて初めての入院生活は退屈であった。お袋が毎日来てくれる以外は、陸上部の仲間が一日置きに見舞いにやってくる。見舞いと言っても、待合室にある漫画本を楽しみにしていたようだ。 体調が戻ったある日の日曜日。突然、同じクラスの「サワハタ マリコ」が一人で見舞いに来た。東京弁を話すマリコはクリンクリンの髪をしたアニメの「魔法使いサリー」に似た可愛い子であった。田舎の中学で、お嬢さんぽい雰囲気を漂わす彼女は、近寄りがたい存在であった。私服で病室に現れたマリコに僕は驚き、耳まで真っ赤になり、たじろいだ。「もう大丈夫なの?」、「うん」。「今日は天気がいいね」、「うん」。「早く退院したいでしょ」、「うん」とベッドに座ったまま顔もろくに見ず答える僕。自衛隊の兄ちゃんがニヤニヤこちらを見ていた。会話にならないのを怒ったのか、マリコは「これ皆さんで食べてね」とお菓子屋の箱をベッドに置いてプイッと病室を出て行った。 箱にはシュークリームが6個入っていた。自衛隊の兄ちゃんに持っていくと、「お前、バッカじゃねえの」と真面目に怒られた。「椅子も出さねえで、何カッコつけてんだよ。一人でやってきたあの子の気持ちがわかんねえのかよ。これだってお前と一緒に食べたかったんだろうよ」と一個を口に入れた。「ああ、ウメえ、あの子のキッスの味だな」だと。「お前、退院したら真っ先にあの子にお礼言うんだぞ。ハンカチの一枚でもプレゼントして謝れ」とシュークリームをもう一個取った。ベッドに戻った僕は、シュークリームを頬張って、「マリコのキッスかあ」と悶々とした。 それから一週間ほどで僕は退院した。退院祝いにお袋がギターを買ってくれた。自衛隊の兄ちゃんにギターを教わっていたのを見ていたんだな。そして久々の登校。クラスのみんなは喜んでくれた。僕は、真っ先にマリコを探した。見当たらないので、女生徒に「サワハタは休みか?」と尋ねた。「ああ、マリコは転校したよ。急に東京に戻ったみたい」だと。「え?、一週間前に…」まで言って止めた。「そう五日くらい前だったかな」と女生徒。 ああ、マリコはあの日お別れを言いに病院に来たのだ。僕に特別な感情があったのかは分からないが、あんな態度で接した自分を今でも恥じている。 マリコも、もう六十歳だよ。あのサリーちゃんみたいなクリンクリンの髪も白くなったかな。この場を借りて、「あの時はゴメンな」と言いたいのであります。。。。
by Patch_It_Up
| 2018-08-09 21:47
| 思い出絵日記
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